モッコウバラとつるバラの違いは?バラはバラでも何かが違う!
春一番に豪華な花付きを見せてくれることで知られるモッコウバラ。“バラ”というからにはもちろんバラの一種であり、枝が長く伸びることからつるバラの一種であることには間違いないのですが、その姿かたち、育て方や栽培方法は一般的なつるバラとは似て非なるものがあるんです。ほかのつるバラと同じようにモッコウバラを育ててしまうと、花付きが悪くなったり、ひどいときには花芽すら付けなくなってしまうことも…。
今回は、モッコウバラと一般的なつるバラの違いについてまとめてみたいと思います。
モッコウバラにはバラ特有のトゲがない!
「モッコウバラとつるバラの違いは?」と聞かれたら、まず最初に思い浮かべるのは“トゲ”の存在。モッコウバラには一般的なつるバラに見られるようなトゲが全くないんです。もちろん、つるバラの中にはトゲがない品種や少ない品種もありますが、モッコウバラのつるすべ感に敵う品種はないんじゃないでしょうか。
“バラ=トゲのある植物”と思っている多くの人たちにとって、モッコウバラはまさに異質な植物。すべすべでつるんとした枝をもつモッコウバラは見た目にバラっぽくないので、「なんていう植物?」と聞かれることもしばしばです。それだけバラにはトゲがつきものだと思っている人が多いということかもしれませんね。
モッコウバラは葉っぱの色や形もバラっぽくない!
バラの葉っぱの形状は品種によってさまざまですが、一般的にイメージするのは緑色が濃く少し厚みがあって、つやつやと照りのある葉っぱではないでしょうか。その点、モッコウバラの場合、葉っぱの色は黄緑っぽく厚みがなくて、どちらかというとマットな質感です。枝にトゲがないうえに葉っぱの雰囲気もバラらしくないので、モッコウバラの存在を全く知らない人からすればやっぱりバラの一種には見えないでしょうね。
わたしもモッコウバラを初めて見たときは、あまりに頼りなさげな枝葉で笹の葉みたいだと思ってしまいましたから(笑)。モッコウバラは病害虫に強いつるバラとして知られていますが、厚みのある照り葉じゃなくても病害虫に強い葉っぱがある、という例外かもしれません。
モッコウバラは冬に剪定&誘引をしない!
バラは休眠期の冬に剪定して誘引を行うのが通常ですが、モッコウバラの場合は冬剪定を行いません。冬にモッコウバラを剪定してしまうと大事な花芽まで一緒に落としてしまうことになるからなんです。
誘引の場合も同じで、花芽ができてしまった後に誘引の作業を行ってしまうと作業中にせっかくの花芽を落としてしまう恐れがありますよね。なので、モッコウバラの剪定と誘引は冬に行わないことが鉄則なんです。
※モッコウバラの剪定&誘引作業についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
モッコウバラは開花前の肥料を控える!
モッコウバラはやせた土地でも生育旺盛に育って豪華な花付きを見せてくれる野生種のつるバラなので、地植えの場合はほとんど肥料を与える必要がありません。逆に肥料が多すぎると枝や葉っぱだけが成長して花が咲かなくなってしまうこともあるんです。肥料の与え方も一般的なつるバラと違っているということですね。
以上にまとめたように、モッコウバラと一般的なつるバラとでは枝や葉の見た目、剪定&誘引や肥料の与え方が根本的に違っています。バラはバラでも一風変わったモッコウバラ。なんだか奥が深いつるバラだと思いませんか?